ファシア整体ソムアート「山下良和」先生:第3回

インタビュー

岡山市にあるファシア整体ソムアート山下 良和(やました よしかず)先生へのインタビュー、最終回となる第3回です。

山下 良和【ファシア整体ソムアート】岡山
Solechika.PRO/s/Yoshikazu_Yamashita/

前回は、カンボジアでの経験と、運命的な出会いから結婚に至るまでの道のりを伺いました。第3回は、そんな山下先生がどのようにして整体師としての道を歩み始め、今の哲学にたどり着いたのかについて伺います。


第3回
『調和という答え』

肩腱板断裂の手術後

日本に戻られてから、清掃業はどうなっていったのでしょうか?

子供が生まれて日本に帰ってきてからも、しばらくは清掃業を続けていました。

でも、2021年、脚立から落ちてしまう事故があったんです。右肩の腱板を3本切ってしまって、手術をして2か月入院しました。腕がつながっても、物理的にほとんど動かなくなってしまって。

「清掃の仕事はもう無理だな」という判断に至りました。

ちょうどそのとき、下の子がお腹にいる状態だったんです。
早く働かなきゃいけないのに、どうしようかなと悩んでいました。

そこから、どのように整体の道に進まれたんですか?

足ツボなら指だけでもできるんですが「それだけで稼ぐのは難しいな」と思っていた頃です。
インスタグラムのおすすめに “カンボジアで整体院を開いていた知人の投稿” が出てきました。

久しぶりだなと思って開いてみたら
「コロナの影響で日本に帰らざるを得なくなって、新しい整体のメソッドを日本で教えるスクールを始めた」
と書いてありました。

説明を読んでいたら “強いチカラはあまり必要のない施術” だということがわかって。これなら今の自分の体でもできるかもしれないと思って連絡してみたら「全然いいですよ、すぐ来てください」と言ってもらえて。そこから教えてもらうことになりました。

そして、2022年6月に、整体サロンを開業しました。

開業当初はどのような状況でしたか?

正直、技術にも自信にも乏しい状態でした。
それでも、友人・知人等200人以上に無料で施術をさせてもらったんです。
練習と集客を兼ねて、とにかく数をこなしました。

ソムアート開業

「ソムアート」という名前には、どんな由来があるんですか?

これは、清掃業の屋号をそのまま引き継いでいるんです。
「ソムアート」というのは、カンボジア語で「掃除」という意味なんですよ。

コトー先生との出会いは、どのようなものだったんですか?

前頭骨の施術を扱った DVD を買ったのが最初でした。
見た瞬間は正直、衝撃でしたね。

「こんなところを触って、何が変わるんだろう?」と思いながら見ていたんですが、その中でコトー先生が「骨膜」「ファシア」という言葉を使っていて。

「あ、自分がやっている施術と、コトー先生の技術はつながっているんだ!」と気づいたんです。

そこから技術を信じるきっかけになったのが、家族の中の出来事です。当時、精神的な不調を抱えていて、ずっと家にいて働くことができない状態の家族がいたんですが、その人に DVD で見た前頭骨の施術をずっと施していたんです。

そうしたら、みるみるうちに症状が改善し、今では正社員として社会復帰できるくらい元気になって。
「これはすごい!」と思いました。

その後、後頭骨の DVD が出たタイミングでセミナーの募集があって「これはぜひお会いしたい」と思って参加を決めました。2023年のことです。

セミナーに参加されてからの変化は?

やっぱり結果がまったく違いましたね。DVD を見ただけの拙い技術でも変化は出せていたんですが、実際にセミナーで力の加減や場所、間合いといったことを対面で教えてもらったら、まったく違う結果が出るようになったんです。

「学ぶことに終わりはないな」というのは今でも思っています。たとえコトー先生の技術をすべて学んだとしても、クライアントさんの症状は人それぞれですから、それを自分の技術とどう組み合わせていくか、他の技術もどう取り入れていくか。学び続けることに、尽きることはないんだろうなと思っています。

コトー先生と初対面時

山下先生が目指す施術者像とは、どのようなものですか?

一言で言うと “匠” ですね。

清掃業を30代くらいまで続けていた頃、もう何も考えなくても体が勝手に動くようになっていたんです。この汚れにはこれ、って。触った質感だけで、どのくらいワックスが乗っているかまでわかるようになっていました。

施術でも、同じような感覚になる瞬間が、時折あるんです。何も考えずに触って、それがすっと入っていく。ゾーンに入っているような感覚ですね。ああ、これができたときは本当に嬉しいなと思います。

そういう境地を、施術でも目指していきたいと思っています。

クライアントさんとは、どのように向き合われているんですか?

本音を言うと、重症の方にはあまり来てほしくないんです。
実際には重症の方もいらっしゃるんですが、そうなる前に来てほしいというのが正直な気持ちです。

だから、施術中は体の話をしながら、クライアントさんへの教育というのを大事にしています。体って、押してみて初めて痛いと気づく部分がたくさんあるんです。普段、歩いていても痛みを感じない場所なので、本人も気づいていない。

そこに気づいてもらって、日常生活の中でできる小さな工夫、たとえば階段をかかとからゆっくり降りるとか、そういうことをお伝えするようにしています。それを実践してくださる方は、本当に体の変化が全然違いますね。80代の方が、それだけで見違えるほど元気になられたこともあります。

あと、単純に私自身がおしゃべり好きなので、話好きな方に来ていただけるのはすごく嬉しいです(笑)

印象に残っているクライアントさんとの出来事はありますか?

ご家族全員で通ってくださる方がいらっしゃるんです。お子さんからおばあちゃんまで、家族みんなで来てくださると、それだけ信頼してくださっているんだなと感じて、印象に残っています。

そういうご家族からは「会話が増えた」「家が明るくなった」というような感想をいただくことがあって。施術を通して、家族の中の調和につながっているのかなと感じるときが、一番嬉しいですね。

ソムアートというサロンを一言で表すとしたら?

“調和” という言葉が、本当に好きなんです。

体って、頭からつま先まで全部つながっているので、どこかが引っ張られると、どこかが持っていかれてしまう。柔らかさと硬さが、ちょうどいいバランスで調和している状態が、一番いいと思っています。

それに、人間関係においても、平和とか調和という言葉が一番好きなんです。

体が楽になれば、人にもやさしくできるようになる。自分のことでいっぱいいっぱいだと、どうしても人に気を配る余裕がなくなってしまうので。みんなの体が楽になれば、その分、いろんなところに調和が生まれるんじゃないかなと思っています。

少し話がそれますが、休日の過ごし方や、お人柄についても伺ってもいいですか?

休日は、もう完全に子供と遊んでいますね。

あとは映画が好きで、一人の時間には古い名作をよく観ています。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか『ミッション:インポッシブル』とか。インスタグラムにもよく載せているので、見た方もいらっしゃるかもしれません。

あと、これは完全に趣味の話なんですけど、ドラゴンクエストに出てくる「スライム」というキャラクターが、昔から大好きなんです。あの、いろんな形に姿を変えられて、どんな相手にも合わせられる感じが、なんだか自分に重なるところがあって。僕自身、あまり「これが自分だ」という強い個がないタイプで、誰とでも合わせられるカメレオンみたいなところがあるんです。

それが不快とかではなくて、むしろ楽しくやれてしまうので。そういう柔らかさというか、形を変えながらも本質は変わらないところが、今の「調和」という考え方にもつながっている気がします。

ちなみに、SNS の投稿画像には、生成 AI も遊び心で取り入れたりしています(笑)

最後に、これからサロンに来てくださる方へメッセージをお願いします

理想としては、置き薬箱のような存在でありたいと思っています。辛いときに、すぐ頼ってもらえる身近な整体師でいたいんです。

体のしんどさだけじゃなく、心も癒したい、話を聞いてもらいたいと思っている方に来ていただきたいですね。「痛みだけ取れればいい」というよりは「これからも元気に生活したい」という価値観をお持ちの方と、一緒に取り組んでいけたら嬉しいです。

この場所を通して、安心感と笑顔を、そのままご自宅にまで持ち帰ってしていただけたら。
それが、私にとって一番嬉しいことです。

ことう式あたまの整体®

山下 良和【ファシア整体ソムアート】岡山
Solechika.PRO/s/Yoshikazu_Yamashita/

第3回を終えて、全3回を振り返って

3回にわたって山下先生のお話を伺ってきましたが、通底していたのは「まっすぐさ」でした。田んぼを近道する少年だった第1回、値段のつけられないものの価値に気づいていく第2回、そして今回、その2つが「調和」という一つの言葉に結びついていく様子を見せていただいたように思います。

考える前に動いてしまう不器用さも、弱いものいじめが大嫌いな性分も、値段では測れないものを大切にする感覚も、すべてが今のソムアートという場所に、ちゃんと生きているのだと感じました。

山下先生のお話をもっと知りたい、実際に施術を受けてみたいという方は、ぜひ山下先生のページもチェックしてみてください。

編集ノグチ