今回は以前から教え子達によく話していることをひとつ。
「実は触れる前に、施術は始まっている」
ということ。
クライアントがドアを開けて入ってきた時から、サロン内でのその方の空気感を感じています。
- ドアを開ける勢い
- 挨拶の声のトーン
- 閉める時の音
- スリッパの足音
- 椅子に座るまでの動き
- 待合で座っている時の目線
- 呼吸
身体はベッドの上だけにあるわけではありません。
その人の緊張も、安心も、その空間全体に出てしまう。だから施術というものは、ベッドに横になって「触った瞬間」から始まるのではなく「入室時」から感じることだと思います。

逆に言えば、触れる技術だけを磨いても、届かない部分がある。
人は安心した時に、初めて施術家に身体を預け始めるからです。だから大切なのは、うまく触れることだけではなく “安心できる空気感” を入室時から作れているか否か。施術家の仕事は、身体反応から変えることだけではなく、相手の心の防御をほどくことなのかもしれません。
やはり大事なのは、以前にもこのコラムで書き記した「施術家という人間の在り方」が、そのまま空間に出てしまうということ。だから施術という仕事は、難解で捉えどころのないが故に、究極におもしろいのだと普段から感じています。